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ツキカケ~第5章『ツキカケ』~4

 彼女は、微笑んだ。
「・・・・・今度は、戦場かしら?それとも戦争が始まる前にアタシを止めてみせる?」
「お、おい待て!」
 彼女に近づこうと1歩踏み出した時だった。僕の背後にある扉が開いた。ノックもしないで潔くだ。
「止まれ、グロリオーサ!」
「あら、父さん・・・・・・」
「・・・・・そうか、ウキ。お前がグロリオーサだったか・・・・・」
 それは、落胆したような顔をしていた。恐らく、イズミさんの死体を見たのだろう。
「・・・・・・どうやら、母さんは・・・・・・」
「残念♪生きてるわよ!」
 ヒョイっと小動物の様に顔を突き出す。それは、幽霊ではない本人。イズミさんだった。
「・・・・・ウソ?」
「いいえ、本当よ。アタシは生きてるもの。ウソはつけないわ。」
 グロリオーサは、ページを荒々しくめくる。そして、あるページで止まる。何かを淡々と読んでいるように見える。
「・・・・・そう、やっぱり落書き程度じゃ歴史は変えられないのね。」
「何を言っているか知らないが、終わりだな。戦争を止める。お前が魔王を放棄すると認めれば、殺しはしない。お前は、オレの娘だからな。」
「無駄だと知っているくせに・・・・・諦めないのね。」
 当たり前だ。こんな事で諦められない。馬鹿げた戦争を早く終わらせなくてはならない。
「・・・・・いいわ。魔王を放棄してあげる。でも、わかっているんでしょ?アタシが放棄しても世界には魔王グロリオーサが何人も存在して、テロ行為をやめないことを・・・・・」
「ああ、知っているだから1人ずつ潰すしかないのさ。」
「あ、そう・・・・・・頑張ってね♪」
 彼女は黒い仮面を被る。ムツキさんが咄嗟に銃口を彼女に向けて乱射する。しかし、最初の1発より早く彼女を指を鳴らした。パチンッ!その音を掻き消すように銃声が響く。
 彼女の身体は黒いヘドロのようなモノになり、弾ける。ビチャ、ビチャと音を立てて床に流れ落ちる。銃弾は、彼女の後ろの窓ガラスを割るだけに過ぎなかった。
「・・・・・どうなっているんだ?」
「・・・・・人間が消えた?」
 いや、違うアイツはもう人間を捨てたんだ。アイツは、いったい?その時脳裏に1つの単語が浮かぶ。
「魔女・・・・・・」
「何?」
「黒い黒い漆黒の魔女グロリオーサ・・・・・・・」
 その単語が沈黙を招く。


 やはり、そうか。やはり、そうだったか。
「カメリアめ!やってくれる。」
 4人の魔女の中でも彼女が一番恐ろしい存在だった。まぁ、5人目が現れたことで畏怖する対象が変わった。だが、今回はどうしてだ?まだ、一度も出てきていない。姿を現さない。まるで自分を観察しているようだ。
「アグニ・・・・・」
 その単語が彼女の頭の中に火花を起こした。




 カメリアは、未だに見つかっていない。一体何処にいるのだろうか?
「・・・・・・・はぁ~」
「あら、タメ息?」
 そんなことをよそにイズミさんが言った。彼女が帰ってきて、事情聴取を受けたというのに元気だ。慣れているのだろうか?
 もちろん事情聴取の理由は、スパイ容疑でだ。ムツキさんもあまり乗り気ではない。まぁ、自分の妻がスパイ容疑になっているのだから仕方ない。
「ムツキさんの事情聴取はどうでした?」
「あははは、相変わらずよ。あの人は昔からそうなの。仕事は仕事、私情は絶対に入れない。だから、アタシでも関係ないわ。それが自分の産みの親でもね。」
 あの人らしい。だから、誰でも疑って誰でも信じるんだろう。
「それでウキは、貴方になんて?」
「・・・・・ありがとう、だってさ。アタシは、まだ何もしていないのに・・・・・・・・。」
 少し哀しそうな顔をした。彼女のこんな顔を見たのは初めてかもしれない。いつもニコニコしているのに・・・・・・まぁ、初対面の時は銃口向けて不気味に笑ってくれたけどさ。
「彼女を捕まえれば、また一緒に生活できますよ。」
「・・・・・・そうね。」
 そんなはずがない。彼女は、自分でテロリスト集団のリーダー魔王グロリオーサだと宣言した。それは、もう帰れないと宣言したのと同じだ。彼女は、人間を捨て魔女になった。つまりは、そういうこと。もう、日常は彼女を迎え入れてくれないのだ。
「さて、と・・・・・貴方も逃げなさい。もうすぐこの街は戦場になるわ。」
「ウキが何かしたんですか?」
「ええ、さっき世界中で流したのよ。独立宣言を・・・・・・」
 やはり、そうだったか。
「彼女は、なぜこの街を?大した域ではないのに・・・・」
「だからよ。恐らく、彼女はアタシたちの自滅を狙っている。例えば、自分の国にテロリストがいないとする。しかし、他国にはテロリストの拠点が自分の国にあるという情報がながれている。冷静な判断を取る国は、自分たちの国に情報を提供してテロリスト殲滅を援助してくれるでしょう。でも、そうでない国は?恐らく、その国が情報を渡すより、自分達で殲滅した方が早いと思うでしょうね。
 つまりは、そういうこと。情報提供をしない国同士が何故攻撃してきたかわからないまま戦争が始まる。恐らく、裏切られたと思ってね。」
 それで最初の標的が日本になった訳か。ということは、どういうことだ?もう彼女は、他の国に逃げているということか?いや、数十分前まで彼女に会っていたのだ。
 ということは、まだ彼女はこの街にいるということか?いや、待て・・・・・。彼女が偽者だとしたら。いや、有り得ない彼女は彼女自身だ。なら、彼女自身がグロリオーサの替え玉?彼女は、逃げると見せかけて実は死んだ?逃走という手品を演じて自殺したのではないだろうか?
 いやいや、違う。彼女は、そんな顔をしていない。もっと勝ち誇った目をしていた。なら、生きているはずだ。なら、答えは簡単だ。この街にまだいる。もしくは、今脱出しようとしている。
「イズミさん、ムツキさんは今何処に?」
「・・・・・貴方よりも先に行動に出たわよ。アタシの事情聴取をする前から対テロ班に検問させている。今は合流しているわ。」
「そうですか。さすがです・・・・・」
 ホッとする。数十分の間に逃げられては洒落にならない。
「じゃあ、僕は僕のすべき事があるので・・・・・・」
「ええ、また終戦後にね・・・・・・」
「はい。」
 僕は、県警署から出た。さぁ、これから数時間の間にやることがある。
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ジャヴュ・ドッペル

Author:ジャヴュ・ドッペル
えらいとこ見られた
こりゃあもう 百年目 じゃと思いました

あと、このブログは敬称略ですので悪しからず。

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