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夜叉ヶ池

夜叉ヶ池というのは実在の地名で、岐阜県と福井県の県境付近にある。
そこには伝説があって、干魃で悩んでいた郡司がたまたま見つけた蛇(実は龍神)に「娘の一人を嫁にあげるから、雨を降らしてくれ」と雨降りの願掛けをしたところ実際に雨が降った。その後、龍神が青年の姿をして郡司の前に現れた。事情を三人娘に話したところ、次女が快く引き受けた。その娘の名前を取って、龍神と娘が住む池のことを「夜叉ヶ池」と呼ぶようになった。

これを題材に泉鏡花が戯曲を書いている。



愛は愛欲 碧ヶ淵の 身を投げ散りぬる お彼岸の 宵待ち草には銀の露 宵待ち草には銀の露

愛欲:異性へ抱く性的な欲求、欲望のこと。
碧ヶ淵:「みどりがふち」 手許にある資料、あとネットで調べても「碧ヶ淵」に関する記述は見つからず。
お彼岸:煩悩などから解放された人々がいるところ、つまり死者の世界こと。夏になると日本でも、いろいろ方法で死者への思いを表す。ちなみに我々が生きるこの世界は「此岸」という。
宵待ち草:植物の名前だが、正しくは「マチヨイグサ」という。竹下夢二の詩に「宵待草」というのがあり、ひと夏の恋、その儚さを歌っている。


待てど暮らせど来ぬ人を

宵待草のやるせなさ

今宵は月も出ぬさうな



銀の露:同じ名前のお酒がある。もちろん、そうではなくて光に照らされて反射する露のこと。


花は霧島 累ヶ淵の めんない千鳥の累々と 唇重ねてねんころり 唇重ねてねんころり

霧島:宮崎県と鹿児島県の県境にある山塊。鹿児島の民謡に「花は霧島、たばこは国分、燃えてあがるは桜島」というのがある。おそらくそこから取ったのであろう。
累ヶ淵:「かさねがふち」 茨城県の鬼怒川沿岸にあって、怪談や歌舞伎の舞台としてたびたび登場する。
めんない千鳥:めんない千鳥というのは「目隠し鬼ごっこ」のこと。でもこの歌詞から察するに、文字通り「目ん無い千鳥」ということで、目が見えないチドリがたくさんいるという意味であろう。


夢は泡沫 夜叉ヶ池の 安寿と厨子王 二人して 永久の旅路とて漕ぎ出でん 永久の旅路とて漕ぎ出でん

泡沫:「うたかた」あるいは「ほうまつ」とも。水面にあらわれてはすぐに消える泡のように儚い様子のこと。
安寿と厨子王:「あんじゅとずしおう」 童話。親子の別れと、姉弟の生き別れを描いた作品。森鴎外の『山椒大夫』はこの話を元にしたもの。


山の彼方の空遠く 妹の軀のありと聞く 夢の通い路獣路 恋せし者の通りゃんせ 月のものの沼を 百歳と越えて

山の彼方の空遠く~:カール・ブッセの詩「山のあなた」をもじっている。


山のあなたの空遠く

「幸さいはひ」住むと人のいふ。

噫、われひとと尋とめゆきて、

涙さしぐみ、かへりきぬ。

山のあなたになほ遠く

「幸さいはひ」住むと人のいふ。



妹:読みは「いもうと」ではなく「いも」という、古語。腹違いの姉妹のことか、恋人や妻のことを指す。
軀:「むくろ」 身体のこと、五体。主に胴体のことを意味するという。
夢の通い路:和歌などでたびたび見られる表現。 夢の中であらわれる道。 夢に見ること。
獣道:山などで狼や狐に狸、あるいは熊といった獣たちが歩いたことで出来た道のこと。
月のものの沼:一般的に「月のもの」といったら「月経」のことを指す。一体どんな沼だというのか。
百歳:「ももとせ」 文字通り「百年のこと」を指す場合が多いが、転じて「とても長い年月のこと」を表す場合もある。


風と生まれ 月と眠り 闇に目醒める 花と生まれ 蝶と眠り 夢に召される


生まれぬ前の妹の声 わらわらの恋の証とて 生首載せよ蓮華台 されば来世は夫婦雛 赤い絲の張りし 琵琶の音だけ響く

わらわ:漢字では「妾」 女性の一人称。
蓮華台:お墓をよく見ると、蓮の花を象って彫刻されているのがある、これが蓮華台である。ちなみ蓮はお釈迦さんと縁が深い植物で、蓮華台に乗ったお釈迦さんや、大日如来の像などもある。
夫婦雛:「めおとびな」と読むが、歌詞内では「つがいびな」と読んでいる。夫婦で一つの対になっている雛人形のことで、仲睦まじい様子をいう。
赤い絲:「運命の人の小指と自らの小指がこの赤い糸で結ばれている、」というまじない、あるいは迷信というのは、辿れば古事記や万葉集、あるいは中国の古典に行き着くという。「絲」は「糸」の旧漢字。
琵琶:「びわ」 弦楽器の一つで、西洋のリュートという弦楽器と同じ起源を持つといわれている。
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テーマ : 人間椅子
ジャンル : 音楽

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ジャヴュ・ドッペル

Author:ジャヴュ・ドッペル
えらいとこ見られた
こりゃあもう 百年目 じゃと思いました

あと、このブログは敬称略ですので悪しからず。

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