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オマージュ探偵とその助手 ~第三話「ボロネーズ」後篇~

朝目を覚ましますと、枕元に夏みかんが置いてありました…ではなく、置いてあったのは世界文学全集でありました。

あれ、なんでこんなところに全集がと思って一冊開いてみたら、なんと中身は全く違うもので、ああ、説明できないものですよ、ああ、こりゃあ年齢制限ですねって具合で、一人驚いていると、窓から雀が飛んできてガラスに激突

あ、死んでら

と思ったら、生きていました、飛び立ちました、そんな今日この頃、みなさんいかがお過ごしですか?


というのは意味のない冗談なわけで、第三話後篇でございます。


更に後のドアを開け、阻止しようとする私と亜里亜の手を押しのけ、夏目兄妹を誘拐。後からやって来た黒いバンに押し込まれそのまま発進。
投げ捨てられた鍵を拾い、バンの後を追う。
蛇行運転をするバン、多くの車にその車体をぶつけ、徐々にその差を広げていった。突然、急ターンをし、反対車線へ飛びこんだ。
「亜里亜クン、携帯で警察に」
「は、はい、ああ、繋がらない」
なぜか、私の携帯も、彼女の携帯も圏外である、妨害電波か?
更に広がる差、見失うと思った矢先、我々の目の前に大きく尻を振る車が現れた
「亜里亜クン、あれコブラ、ほら?」
「コブラ、ヘビですか?」
「知らんのか、シェルビー・コブラだよ、ああ、あっ!」
コブラに乗った誰かも、我々と同じ相手を追っているようで、気が付いたらあの綺麗で素晴らしいボディをぶつけた、何度も何度もぶつけた、ああ、綺麗に飛び散るよ、美しい青、白…
「ボロボロだよ、亜里亜クン、コブラがボロボロだよ」
「あ、そうですか、そうですか」
そのままズルズルと、海の方まで檄走し追い詰め、これで安心かと思いきや、彼らは急に止まり、ライフルの様なものをちらつかせて、倉庫の中へ入っていく。
我々よりも早く奴等の後を追って、倉庫に入って行ったのはあのコブラでやって来た、全身黒尽くめの男であった。
拳銃らしきものを持って後を追う黒尽くめの男。

私たちにはもちろん銃など武器を持っていなかったがそんなことお構いなしに、倉庫に侵入した。
バンッ
乾いた銃声が聞こえた、続いて間髪いれずに、ダダダダダッとフルオートで銃を乱射する音が聞こえた。恐らく、誘拐犯たちが売ったのだろう。
さらに近づくと、大量の薬莢が広がり、まだ乱射する音が聞こえた。急にその音が止んだかと思いきや、何かガラスの様なものが割れる音がした、するとかすかに何かが燃える音が。見上げてみると、倉庫に大量につまれた穀物袋の頂上から火が付き、恐ろしく燃え立っている。
やがて穀物袋の山が崩壊し、真っ白な煙が立った。
「モロトフだ、逃げるぞ、亜里亜クン」
「え、ええ?」
もしかしたら粉塵爆発が起こると思ったからであるが、幸いそれはなかった。外に出て亜里亜をそのまま車で待機するように言い、私は倉庫の裏手に回る、その途中、さらっていった連中の車の中からショットガンとは拳銃を失敬し、武装。
中ではまだどうやらドンパチやっているようだ。ドアを蹴破り、ショットガンを構える、顔を仮面で隠している変な連中がライフルをもってウロチョロしていた。
日本語ではない言葉で叫び、銃を撃ってきた男、あれはおそらく中国語。
なんとか弾丸をかわし、仮面野郎の腹に散弾をぶち込む、その勢いで窓ガラスに激突、そのまま絶命したようだ、さらに中に踏み込む。
日本語で聞こえる罵声
「このクズが!!」
何か棒状のものに後頭部を殴られたようで、私はよろけ尻餅をついた。
「あと、ちょっとで上手くいったのに!!」
フルフェイスヘルメットを取ったその女性の顔は非常に美しかったが、目は血走り、武者震いの様に揺れ肩が笑っている、狂人だ、人ではないあれは鬼だ。
「どうしてくれるのよ、どうしてくれるのよ、金、金、金」
急に彼女の動きが止まった。
ニヤリ笑って「さようなら、クズ」
目の前に広がったのは首から鮮血を噴水のように出しながら倒れる女性、私の顔に大量の血が降りかかり、眼も開けられない。
一瞬、やわらかく暖かい感触が唇にした、死する者との接吻、彼女は私の上に倒れそのまま死んだ。
「大丈夫かい?」
今度は野太い男の声だ。その声の主はあの黒尽くめの男。
黒尽くめといっても、正確には黒に限りなく近い紺色のスーツで、ネクタイは赤のドットだった。
「助けてくれてありがとう」
「いいってことさ、俺を助けに来てくれたんだろ?」
「いいや、違う。さらわれた兄妹を助けに来た」
「そうか、そうだったな。あの兄妹なら向こうで縛られている、助けに行ってやってくれ」
「分かった。ありがとう、助かった」
「じゃあな、俺はコレで」
「ちょっと待て、お前は誰なんだ?」
「俺、俺の名は大柿範仁だ」
そういって、男は消えていった。
そう、また、あのボコボコ・コブラに乗って消えていったのだ。

体中縛られていた縄を解き、アイマスク、口に張られたガムテープを取った。
「助けに来てくれたんですね。ありがとう、宇宙人さん」
「遅いぞ、宇宙オッサン」
「私は宇宙オッサンじゃない、珠路だ」
「あっそ。それより、宇宙オッサン。さっきの黒尽くめの人が僕を最初に誘拐した犯人だよ」
「えっ?さっきの男が?」
「うん」
「そうか…それはともかく、帰ろうか」
「ええ、帰りましょ」
気が付けば、日もドップリと暮れ、亜里亜は車の中で居眠りをしていた。
「さあ、起きろ、帰るぞ、亜里亜クン」
「え、あ、はいッ」

真夜中の国道を走りながら、私は何度も同じことを考えていた。
なぜ、彼は身代金も請求せず誘拐なんかをしたのか、そしてなぜ再び誘拐されたとき助けに来たのか?
「どうしたんですか、所長、難しい顔して」
「ちょっと考え事をしていたんだ…」
「1人だけで考え込まないで、私にも相談してくださいよ…役に立つかどうかわかりませんけど」そう言って、微笑む亜里亜。
ふと亜里亜が、見覚えのない携帯電話を取り出した。
「所長、所長、コレ見てください、わざわざ事務所の電話を転送専用の携帯電話を買ったんです」
「そ、それって無駄遣いじゃないか?」
「いいえ、必要なものですから、無駄じゃありません」

そうこうしていると、その買ったばかりの携帯電話が鳴った、着信音はショパンでもラヴェルのボレロでもなく、聞き覚えのないメロディ。
なんだっけな、あの音楽…
えーっと
なんだったかな、そうだ
「ポロネーズだ」
そう私が言うと、彼女は口元に人差し指を添えて、静かにするようにと合図を送った、そして
「はい、こちら珠路探偵事務所です、ご依頼は?」
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テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

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ジャヴュ・ドッペル

Author:ジャヴュ・ドッペル
えらいとこ見られた
こりゃあもう 百年目 じゃと思いました

あと、このブログは敬称略ですので悪しからず。

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